何を願い続けようか
パチリ。
そんな音を立てて、ロケットペンダントの蓋が閉じる。閉じたロケットを手の中でもてあそびながら、ぼんやりと思い出す。
何故、自分だけ生き返ったのか。
火事にあい、家族と共に命を落とした自分は、しかし鬼として生き返った。また、家族と共に生きられると思った、のに。
鬼となったのは、自分だけだった。
はあ、と溜息を吐けば白く広がっていく。またこの季節がやってきた。
「冬は乾燥するから、よく燃えるそうだ」
目の前の墓標にそう語りかける。もっと気を付けるべきだったな、なんて。今更にも程がある。
二人が眠る墓を見つめ、そして目を閉じた。
ああ、願わくば――。
巡々三十題「何を願い続けようか」