理由なんて

「……隊長ってよく分からない」
 思わず溜息と共に言葉が零れた。
 先を歩いていた隊長が、歩みを止めないままにこちらを振り返る。隊長にしては珍しい反応――なんというか、キョトンとした表情とでも言えばいいのか――でこちらを見ている。
「あ、いや……なんでもない、です」
 思わず取り繕うような言葉を発する。取り繕えてなどいないことは分かってはいるが。
 ふと以前八尋に、何故隊長呼びなのかと聞かれた事を思い出す。大体の人は名前にさん付けだし、本人もそれで良いと言っているからだろう。聞かれた時は無理矢理誤魔化した……名前を呼ぶのが恥ずかしいとか、女々しいにも程があるだろう。
 そんなことを考えていたら、数歩先を歩いていた筈の隊長の姿が目の前にあって、思わず足を止めた。
「そんな事はないと思うんだがな……特にカザネさんに対しては、な」
 ふっ、といつもと違う表情で隊長が笑った。心臓が跳ねたような感覚がしたのは気のせいな筈、だ。……多分。

友人にリクエストされたので。
短い、とても短い。
暁×風音は公式じゃないです。
なんていうか、個人的には相棒的な感じの二人です。

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